資産の「取り崩し」と「4%ルール」
投資は「お金を増やす(積立)」フェーズだけでなく、「築いたお金をどう使っていくか(取り崩し)」のフェーズ(出口戦略)も等しく重要です。
1. なぜ「取り崩しシミュレーション」が必要か
老後やリタイア(FIRE)後に、貯めた現金だけを切り崩して生きていくと、みるみる残高が減少し心理的な不安に押しつぶされる「資産寿命の枯渇」リスクがあります。
しかし、資産の大半を引き続き「投資(運用)」しながら、増えた分だけを少しずつ引き出して生活費に充てるようにすれば、資産の寿命を大幅に延ばすことができます。場合によっては、取り崩しているのにお金が減らない(あるいは増え続ける)という状態を作り出すことも可能です。
当シミュレーターの「詳細モード」内にある「取り崩しシミュレーション」をオンにすることで、運用を続けながら毎月一定額を引き出した場合の、資産の目減り(または増加)具合をグラフで確認できます。
2. 有名な「4%ルール」とは
取り崩しの出口戦略として世界中で最も有名な研究の一つが、アメリカのトリニティ大学の教授らによって発表された通称「4%ルール(トリニティ・スタディ)」です。
これは簡単に言うと、「引退時の資産額の4%を、毎年(インフレ率を加味しながら)引き出し続けたとしても、株式と債券にバランスよく分散投資しておけば、30年後に資産が枯渇していない確率が95%以上である」という過去の実証データに基づく理論です。
4%ルールの計算例(月額へ換算)
- 資産3,000万円の場合: 年間 120万円 (毎月 10万円) 取り崩せる
- 資産5,000万円の場合: 年間 200万円 (毎月 16.6万円) 取り崩せる
- 資産1億円の場合: 年間 400万円 (毎月 33.3万円) 取り崩せる
3. 取り崩しにおける注意点(市場リスク)
定率のシミュレーション上では資産が長持ちするように見えても、実際の株式市場は暴落することもあれば急騰することもあります。
特にリタイア直後(取り崩し開始直後)に大暴落を経験し、資産が大きく目減りした状態から毎月定額を引き出してしまうと、資産が一気に枯渇してしまう「収益順序のリスク(Sequence of Returns Risk)」と呼ばれる危険性があります。
当シミュレーターの「モンテカルロ」モードや「ヒストリカル」モードを活用すれば、このような「最悪の相場に巻き込まれた場合、取り崩し計画はどう破綻するのか」という現実的なワーストケースも視覚的にチェックできるため、安全な引き出し額の余裕を持たせる計画作りに役立ちます。